3Dレーザースキャナーはこんな場所で活躍しています!(構造物調査編)
世の中には構造物と呼ばれる巨大な建造物があふれています。技術の粋を結集して作られた構造物はとても頑丈に作られていますが、その巨体を維持するためには日々のメンテナンスが欠かせません。
最近ではそうした巨大な構造物を調査するのに3Dレーザースキャナーを利用する事例が増えてきたことをご存知でしょうか。
物体の形状を正確にスキャン可能な3Dレーザースキャナーの性質はこうした調査でとくに力を発揮するため、さまざまな現場で利用されるようになりました。
今回の記事では3Dレーザースキャナーの強みや活用事例などをご紹介します。
構造物とは
みなさんは「構造物」と聞いてどんなものが思い浮かびますか。
高速道路や港湾、鉄橋、堤防などさまざまな構造物がわたしたちの身の回りには溢れていますが、構造物の中にも種類があり、使われる素材によって土構造物、コンクリート構造物、鋼構造物などと呼ばれます。
構造物という言葉は広い意味を持つ言葉なのではっきりとした定義は難しいです。定義の一例を挙げると国土交通省の「土木・建築にかかる設計の基本」という資料の中にある「目的とする機能を持ち、作用に対して抵抗することを意図として人為的に構築されるもの」という定義があります。
なぜ構造物調査に3Dレーザースキャナーが選ばれるのか
巨大な構造物との相性
構造物の調査には目視や打音検査などがありますが、検査する箇所まで近づかなければならないものがほとんどです。
巨大な構造物の検査は徒歩であっても大変ですが、高所作業車が必要な場合もありそうなると時間と手間はますます増大になってしまいます。
3Dレーザースキャナーであれば100メートル以上離れた箇所の状態をチェックすることも可能なので大きく手間を減らすことができます。
コストダウン
100メートルを超える距離でも一気に計測可能な3Dレーザースキャナーは、従来にくらべて点検にかかる時間や作業員の人数を減らすことが可能です。
このおかげで作業時間や人的コストを軽減できます。
3Dレーザースキャナーを利用した構造物調査はこうした場所で行われています
橋梁
通常、橋のように地上や足場からでは届かない箇所の点検が必要な構造物では専用の足場を設置するといった方法がとられています。
この方法では全体を点検するために少しずつ足場を動かして行かなければならず、時間も手間もかかってしまう問題があります。
そうした手間を減らすため3Dレーザースキャナーを使って全体を素早く調査し、異常が見つかった部分を人間の目で確認する方法が広まってきました。
全国のインフラの老朽化が叫ばれている現在、より効率的なメンテナンス手段の1つとして3Dレーザースキャナーの活用に注目が集まっています。
プラント
巨大かつ複雑で入り組んだ構造を持つプラントは全体の形状が把握しにくいうえ、増改築によって設計図を見ても構造がわからない状態になってしまっていることも少なくありません。
点検や改築のために工事がしたくても構造がわからないままではどうしようもないため、そうした場合全体を把握するための調査を行うことになります。
3Dレーザースキャナーを使った調査であれば3Dモデルによる視覚的な全体像の把握や3Dモデルを利用した設計図の作成といったメリットがあります。
擁壁
崖や盛り土によって高低差のできてしまった土地の崩壊を防ぐために設置される構造物が擁壁です。坂道の多い土地で家の周りの土地がコンクリートで固められている家やコンクリートブロックがジグザグに積まれている家、石垣によって囲まれている家などを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
家に限らず山の落石防護擁壁や河川の護岸ブロックなどで広く利用されている擁壁ですが、経年劣化や地震によってダメージを受けてしまった場合想定された効果を発揮しない可能性があります。
そうした事態を防ぐために定期的に点検を行うことが重要です。しかし、広範囲にわたって伸びる擁壁を目視や打音で細かくチェックしようとすると非常に時間が掛かってしまいます。
そのため最近では、MMSと呼ばれる3Dレーザースキャナーなどのセンサーを搭載した自動車を使って移動しながら計測する技術が利用されるようになってきました。
MMSによる計測でヒビ割れや変形などの異常を見つけ、必要であれば作業員が補修を行うという分担をすることで作業の効率化が図れます。
まとめ
構造物調査における3Dレーザースキャナーの活用事例などをご紹介させていただきました。
巨大な構造物の場合、点検箇所に人が近づくだけでも大掛かりな装置が必要になってしまう状況が多々あります。そうした状況を減らすために非接触で計測できる3Dレーザースキャナーを活用した事例が続々と登場しています。