河川やダム・堤防の測量で活躍する3Dレーザースキャナー!
3Dレーザースキャナーは土木現場での活躍が多い機器ですが、今回はその中でも河川・ダム・堤防といった水にまつわる現場での活用をご紹介したいと思います。
大きな建造物や水量の多い場所は測量が大変!
たとえば、従来の橋梁点検では目視によるひび割れ確認やハンマーによる打音調査などが主流でしたが、人の手で細かく調査するため手間がかかることや、調査後の損傷図の作成、写真撮影などの多くの人員と費用が必要になってしまう問題を抱えていました。
そうした巨大で複雑な構造物であっても、3Dレーザースキャナーによる計測なら大幅な時間短縮や取得した点群データの利用による図面の作成ができるため、点検やその後の作業でかなりの効率化を達成することも可能となります。
複雑な形状でもハンディタイプと組み合わせるなどの方法で計測することが可能で、多くのニーズに対応できるのが3Dレーザースキャナーの強みです。
3Dレーザースキャナーのもう1つのメリットとして水量の多い場所での計測があります。従来の観測では水が引くまで待たなければならないような場所でもレーザーによる遠距離からの計測や水中での計測が可能な3Dレーザースキャナーを使うことで柔軟に対処できる特徴があります。
河川・ダム・堤防での活用事例
高密度の点群データは3Dモデルの作成や等高線図、土量計算、断面図などさまざまに活用できるため、3Dレーザースキャナーを使用した測量が増えてきました。
果たしてどのような活用事例があるのでしょうか?河川・ダム・堤防での活用事例をご紹介します。
河川
3Dレーザースキャナーによる河川の測量では、周辺を広範囲にわたって一度にスキャンできるため従来の方法に比べて短時間かつ少人数でできるといったメリットがあります。
地上設置型やドローン搭載型、水中でもスキャン可能なグリーンレーザー型など用途に合わせて3Dレーザースキャナーを使い分けることができるのも魅力です。
スキャンで得られた点群データを利用すれば、縦横断面図や地形図、3Dモデルなどの作成も可能なので工事計画の作成や3Dモデルを使った災害のシミュレーションといった防災分野でも役立てることができます。
ダム
ダムにおける3Dレーザースキャナーの活用法として、3Dレーザースキャナーによるダムの形状変位や法面の計測などがあります。
高精度のスキャンによってダムがどの程度変形しているかや面の向きを計測することでダムの現状を把握します。水が溜まって変形したダムの状態を正確に把握できるほか、点群データから断面図を作ることもできるので施工の計画を考える際に役立つデータがとれます。
また、時間短縮の効果も大きく以前は3~4日かかっていた計測作業が、3Dレーザースキャナーを活用することにより1日で終えられるようになるといったメリットもあり活用が広がっています。
堤防
近年の異常気象などもあり全国の自治体で堤防の調査などが盛んに行われていますが、その中の1つに3Dレーザースキャナーによる測量も含まれています。
MMSとよばれる3Dレーザースキャナーや各種センサーが搭載された車載型のシステムを使い自動車を走らせながら堤防の状態をスキャンし、高精度の点群データを取得します。
一般的に活用されている航空レーザー測量よりも高精度の測量ができるため、注目が集まっています。
まとめ
河川・ダム・堤防といった水にまつわる現場での活用事例などをご紹介させていただきました。今回ご紹介したような広い現場では広範囲を計測できる3Dレーザースキャナーのメリットが遺憾なく発揮されます。
非接触方式で計測する3Dレーザースキャナーは広範囲の測量による時間や人的コストの削減だけでなく、危険な場所に作業員が近づかなくて済むなど安全面でもメリットがある人にやさしい機器となっています。
また、「i-Construction」のようなICT活用工事の取り組みに3Dレーザースキャナーを活かした事例もあるので良ければコチラの記事もご覧ください。
このように3Dレーザースキャナーの活用にはさまざまなメリットがあるのでどんどん利用が広がっていくといいですね。