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点群データの活用事例 ~点群データの3Dモデル化とは?~

以前の記事では点群データの活用方法の1つとして点群データのCAD化をご紹介しました。
今回は点群データの3Dモデル化をテーマとして、いろいろな活用方法をご紹介します。厳密にいえばCADも3Dモデル化ですが、今回の記事ではCAD以外の活用方法についてピックアップします。

なぜ3Dモデル化するの?

そもそもなぜ3Dモデル化をする必要があるのかご存知でしょうか。みなさんの中には「3Dレーザースキャナーで取得した点群データはすごく高精度なんだから、このまま点群データを使ってしまえばいいのではないか」と思ってしまう方もいらっしゃると思います。
一見何でもできそうに思えてしまう点群データですが、実は点群データには高精度・高密度ゆえにファイルサイズが巨大になってしまうという弱点があるんです。

高範囲にわたる測量ではデータサイズが1TBを超えてしまうことも珍しくなく、使用する3Dソフトウェアによっては、そのままのサイズでは扱えない場合も出てきます。
そのため用途に合わせて点群データを加工し、必要な要素のみを抽出したデータを使用するのが一般的です。

点群データから作られた3Dモデルはこのようなところで活用されています

3Dプリンティング

3Dプリンターで出力するデータを作る際に、点群データから3Dモデルを制作することがあります。
既存のオブジェクトなどを3Dスキャナーで取り込み、デジタルデータ化しますが、3Dプリンターはその3Dプリンターが対応するファイル形式しか読み込みません。
そこで点群データを変換して対応する3Dモデルデータ形式にします。3Dプリンターでよく使われる形式としては、STL形式と呼ばれる三角形でメッシュを表す形式などがあります。

プロジェクションマッピング

近年よく話題になるプロジェクションマッピング。実はここでも点群データの活用が進んでいます。
派手な演出でイベントを彩ってくれるプロジェクションマッピングですが、屋外の建物に投影する時など、気軽にテスト投影を行えない場合も多いです。
それを解決するために多くの場合では、投影する建物の模型を制作してテスト投影をしています。この時の模型を3Dレーザースキャナーで取得した点群データから3Dプリンターを使って制作する手法が広まってきました。
色まで取得できるタイプの3Dレーザースキャナーであれば、映像を投影した時の色味まで確認できるメリットがあるなど、3Dレーザースキャナーならではの強みが活かされています。

プロジェクションマッピングは、こうした演出以外にも土木や工業分野で活用されています。プロジェクションマッピングの技術を応用したトンネル工事では、地面の高低差が一目でわかるように色分け表示することで作業の見える化を実現しました。

映像分野でのVFX

以前の記事でもご紹介しましたが、映像分野のVFX(視覚効果)で活用されている事例があります。
実写映画で人物や背景のCG合成をする場合、合成するCGがまわりと馴染むように制作することが重要となりますが、そのときに3Dレーザースキャナーを使って撮影に使用した場所をスキャンする方法が広まっています。
点群データとして取得したデータを編集に使用するソフトウェアへ対応した形式の3Dモデルとして出力し、その3Dモデルデータを参考にしながら合成用CGを制作するといった活用方法があります。
この方法であれば実物の寸法や凹凸を詳細に再現したデータをもとにしながら作業できるのでよりクオリティの高いCG制作が可能です。

まとめ

今回は点群データの3Dモデル化を通した活用事例をご紹介させていただきました。
3Dレーザースキャナーを使ったスキャンや点群データの処理技術は日々発展しており、さまざまな新技術や新サービスとして多くの現場で利用されています。