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3Dレーザースキャナーとデジタルカメラ~点群データの利用で何が変わったのか~

従来はデジタルカメラが現場のデジタル保存という役割を担っていましたが、3Dレーザースキャナーの普及と共にその役割にも変化が生じています。
3Dレーザースキャナーの登場で今までデジタルカメラで行っていたような作業が、3Dレーザースキャナーの利用に置き換えられるような場面も増えてきました。
国によるi-Construction(アイ・コンストラクション)やICT活用工事における3次元データによる電子納品の推進により3Dレーザースキャナーと点群データの活用はますます拡大しています。
今回の記事ではデジタルカメラと3Dレーザースキャナーの関係をテーマに活用事例をご紹介します。

このようなところで3Dレーザースキャナーの利用が増えています

デジタルカメラはコストや使いやすさ、取り回しの良さなどさまざまな長所があり登場以降多くの分野で活躍していますが、状況によっては3Dレーザースキャナーが採用されることも増えてきました。

現場の様子を保存

映画制作などではロケ地やセットの様子を保存する際、デジタルカメラで大量の写真を撮影することでロケ地から帰ってきた後やセットを壊した後にも現場の状況を思い出せるように記録しています。
CG合成をする時はそうして集めたデータをもとに周辺の環境を3Dモデリングによって再現したものを利用していましたが、正確なモデリングをするためには写真が撮影された位置などを考慮し、モデラーが修正していかなければならないため熟練のモデラーが必要となる大変な作業でした。
3Dレーザースキャナーを利用すれば現場の状況を正確に写し取った点群データを素早く取得できるので利用が増えています。

点群データの作成

実は2Dの写真から3次元形状を復元する技術というのがあるのをご存知でしょうか。
写真を分析することで構造物の形状を把握し、そこから点群データを生成できます。
航空機を使った空中写真測量では一定の間隔で連続写真を撮影し、そこからステレオ写真の原理を使い3Dデータを作成します。
現在では航空機やドローンに3Dレーザースキャナーを搭載し、広範囲の点群データを取得する方法が広まっています。

立体写真

鑑識では交通事故現場の捜査のためにステレオカメラと呼ばれるカメラを使い、立体的な写真を撮影しています。
専用の測量機器を使いその写真を分析することで現場の状況を図面化。自動車の速度の算出やタイヤ痕の状態を調べるための資料として活用されています。
裁判の資料にも使われる重要な作業ですが、近年では3Dレーザースキャナーを導入する都道府県警が増えてきました。
取得した点群データから作成した3Dモデルを利用し事故発生時のシミュレーションを制作することで捜査に役立てています。

3Dレーザースキャナーとデジタルカメラは高相性!?

先ほどはデジタルカメラに替わり3Dレーザースキャナーが使われるようになった事例を紹介しましたが、3Dレーザースキャナーの普及によりデジタルカメラが不要になったわけではありません。

それどころかデジタルカメラと3Dレーザースキャナーを共に利用することで新たな活用がなされています。

3Dレーザースキャナーにもデジタルカメラの技術が利用されています

3Dレーザースキャナーで取得した点群データにきれいな色やテクスチャがついていることがありますが、実は色データやテクスチャの取得はデジタルカメラの技術が使われています。
それぞれの得意なことを組み合わせることでより利用しやすいデータが作成できます。

点群データでは把握しにくい質感や雰囲気をデジタルカメラで保存

3Dレーザースキャナーは位置や形状を正確にデータ化してくれますが、3Dレーザースキャナーだけでは質感などを正確に再現することは難しいです。
そこで形状の保存は3Dレーザースキャナー、質感の保存はデジタルカメラといった使い分けをしているところもあります。
2つの長所を活かすことで正確な形状と質感をもったクオリティの高いモデリングが行えます。

まとめ

3Dレーザースキャナーの登場でデジタルカメラの役割がどう変化したのかを紹介しました。
デジタルカメラは今も広く使われていますが、一部では3Dレーザースキャナーへの置き換えや併用が進んでいます。
また、3Dレーザースキャナーとデジタルカメラそれぞれの長所を上手く生かすことで、さらなるクオリティアップに成功している事例もあります。
最近ではスマートフォンであるiPhone 12 Proに「LiDARスキャナ」と呼ばれる自動運転や3D地図作成に使われている技術を使用したレーザースキャナーが搭載され、対象の距離を正確に計測することができるようになりました。
これによりAR合成の精度アップやユーザー補助のアクセシビリティー機能での利用が可能となるなど新たな活用がひろがっています。