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ソーキテクノロジーブログ

今注目の「スマート林業」では3Dレーザースキャナーの活用も盛んです

スマート林業という言葉をご存知でしょうか。

最近の林業では担い手不足の解消生産性アップのために最新テクノロジーを積極的に採用した「スマート林業」の導入が進んでいます。
ここでは、林業におけるIoTやデジタルトランスフォーメーション(DX)普及の背景や、3Dレーザースキャナーのような最新テクノロジーを利用した実際の事例などをご紹介します。

なぜスマート林業の導入が必要なのか

スマート林業の導入が進められる大きな理由に人手不足があります。
人手不足の原因は

  • 戦後に植林された多くの人工林の伐採期が訪れている
  • 木材の輸入自由化による国内林業の衰退と最近の国産木材の需要増加

の2つが主な要因といわれています。

さらに最近では新型コロナウィルスの感染拡大の影響でアメリカ郊外での戸建住宅需要が高まったことや海運需要の増加によるコンテナ不足などにより木材の供給が不足しており、木材の価格が高騰する「ウッドショック」と呼ばれる問題も起きています。
こうしたさまざまな要因により国産木材の活用に注目が集まっています。

戦後に植林された人工林の伐採期が訪れている

昭和中期では戦後の復興などにより木材の需要が急拡大し、木材の供給が追いつかず木材不足とそれに伴う木材の高騰が続いていました。
このため政府は「拡大造林政策」をおこない、里山の雑木林や天然林はスギやヒノキのような経済価値の高い樹木を育てるための人工林へと置き換えられました。
伐採に適した木が育つまでには40~50年かかると言われており、こうして植林された人工林が今伐採期を迎えているのです。

木材の輸入自由化による国内林業の衰退と最近の国産木材の需要増加

1964年に木材の輸入が自由化されたことにより、海外から大量の安い木材を手に入れられるようになりました。
そのため、国産木材の需要は減り続け2002年には木材自給率が18.8%まで落ち込みました。1955年には木材自給率が96.1%もあったことを考えると大きく減少したことがわかります。
これにより、国内の林業経営者の多くが経営悪化の憂き目にあい林業離れが進み、林業就業者が減っていきました。
しかし、最近では国産木材の需要が上昇し2018年の木材自給率は36.6%まで回復しています。
需要の増加と共に必要となる人手も増えましたが、一度減ってしまった人手を回復するのは林業従事者の高齢化や少子化の影響などもあり容易なことではありません。

スマート林業のメリット

スマート林業の大きなメリットとして「作業の大幅な効率化」が挙げられます。
スマート林業によってIoTやDXが進むと森林の管理や植木の状態の把握が簡単になったり、集めたデータを利用することで顧客が欲しがっている木を素早く探すことが可能です。
このように作業効率を上げることが人手不足の解消へと繋がります

スマート林業の事例

3Dレーザースキャナーを使って木の状態を把握

森林内の計測では3Dレーザースキャナーが大きな力を発揮します
設置して周囲を計測するタイプやウェアラブル型と呼ばれる背負って移動しながら計測できるタイプ、ドローンに搭載して周囲をまとめてスキャンするタイプがあります。
こうして森林データを集めます。

集めたデータをもとに森林のマップを作成

集めた森林データを解析してどこにどんな木があるのかを示す地図をつくります。
地理情報システム(GIS)とも呼ばれるこのシステムのおかげでデジタル空間上に森林を再現し、簡単に樹木の管理をすることが可能となります。

データを解析しマッチングや伐採計画づくりに利用

解析した森林データをもとに需給マッチングをおこないます。需給マッチングにより顧客の求める木材とそれに適している木がどこにあるのかを素早く簡単に見つけ出すことができます。
マッチングにより伐採する木を決めたら伐採計画をつくります。効率のいい作業路の選定や土工量の自動計算といったことが可能です。

まとめ

スマート林業について簡単にご紹介させていただきました。長い時間をかけて育った木々を有効活用するために最新テクノロジーがどんどん投入されていることを感じて頂けたでしょうか。
以前ご紹介したトンネルなどのインフラの保守点検の事例でもそうですが、現実空間をデータとしてパソコンへ取り込みデジタル空間上に再現する工程で3Dレーザースキャナーは非常によく利用されています
スマート林業に限らず現場の見える化を考える場合には3Dレーザースキャナーの利用 がオススメです。