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点群データを利用したデータ解析やシミュレーションの事例をご紹介します!

今までご紹介してきた事例は点群データから3DCGの作成や断面図の作成、状況を記録するなど視覚的な利用がほとんどでしたが、点群データの活用方法はそれだけではありません。
点群データを解析することで周辺環境を把握したり、コンピューターシミュレーションによる仮想的な実験を行うといったデジタルデータならではの活用をしているところも多くあります。
今回はこうした活用事例をピックアップしてご紹介したいと思います。

なぜ解析やシミュレーションに点群データを使うの?

3Dスキャンによって得られる点群データは現実の物体の形状や配置を正確にコンピューター上に再現できる性質を持ちます。そのため地形の変化を正確に把握し解析する時や精度の高いコンピューターシミュレーションを制作する時に利用することが可能です。
こうした技術は建物の増改築の際に干渉チェックのシミュレーションをしたり、物理シミュレーションによる仮想実験をしたりする場合に役立てられています。

活用事例

災害シミュレーション

災害対策では主に2つの利用がされています。1つ目は災害が想定される場所のデータを取得し被害予測シミュレーションの作成することや、災害が起こりやすい場所を定期的にスキャンすることで地形の変化を分析するといった災害の予防や対策のための利用。
もう1つは、いざ事故が起きた時にドローンなどで災害現場を迅速にスキャンしたのち、スキャンデータを分析することで被害状況の把握や復旧計画の作成するといった災害後の利用です。

リバースエンジニアリングした物体を使ったシミュレーション

点群データからCADモデルを作成し、そのモデルを使ったシミュレーションを行っています。
増改築を繰り返したことで図面と大きなずれができてしまった建築物や古くて資料の残っていない部品などを計測することでゼロから点群データ化、シミュレーションによる解析までを実行します。

重機や配管の干渉チェック

3Dスキャナーを使えば現場を正確に把握できるため、道幅や障害物の高さもしっかりと計測できます。そのため、現地へ入る前に重機が入るかを確認でき、重機が入らなくて現場で立ち往生といったミスを防げます。
また、プラントのような配管の多い場所では図面だけでは配管の位置を正確に把握することが難しく、施工時に現場で合わせる前提の計画が主でしたが、点群データを使えば事前に正確なシミュレーションを行えるのでそうした手間を減らすことができ効率的に施工することが可能になります。

自動運転システム

自動運転車にはさまざまなセンサーが搭載されていますが、3Dスキャナーもその1つです。
周辺をリアルタイムでスキャン・解析することによって人や障害物の有無を瞬時に判断しています。

ゲームエンジン

ゲームエンジンは主にテレビゲームの開発に使われていますが、UnityやUnrealEngine4といったシェアの高いゲームエンジンにはリアルタイムレンダリング機能や物理演算のような高度な機能が組み込まれていることに加え、マルチプラットフォームのアプリ開発が容易なことなどが評価されたことにより、産業分野でも利用されることが増えてきました。
ゲームエンジンの活用方法は視覚的にきれいなグラフィックを作るビジュアライゼーション、物理演算機能を使ったシミュレーション制作などがあり、点群データの活用としては点群データから作ったCGモデルを取り込みVR環境で現場を再現することで訓練や安全教育ツールとして利用するなどがあります。

まとめ

点群データによる詳細なデータは解析やシミュレーションをするときの重要なデータとして利用されています。
点群データが扱う位置情報の量は数百万点から数千万点を超えることも多く、従来のトータルステーションやGPSを使った場合の位置情報の量である数千点に比べて圧倒的な精度を持ちます。
コンピューターの性能アップのおかげでそうした大量のデータを扱うことが現実的に可能となってきたため、点群データを業務に活かそうとする動きはますます盛んになっていくでしょう。